ゼロマルの徒然blog

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上司の存在意義とは?:会社勤めならば「組織の一員であること」を認識すべき【隠蔽捜査に学ぶ!④ 】

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隠蔽捜査に学ぶ!シリーズの第4弾です。

※基本的に1回完結型になっているので、どこから読み進めていただいても大丈夫です。

 

今回はスピンオフ作品「初陣 隠蔽捜査3.5」をご紹介します。

スピンオフ作品なので、主人公が竜崎ではなく幼馴染で警視庁刑事部長の伊丹俊太郎になっています。

ただ内容は「伊丹のピンチを竜崎が救う」というものが多数を占めます。

竜崎の活躍はもちろん、

私がもっとも感銘を受けたフレーズが存在するのもこの作品なのです。

ぜひ、ご確認ください。

 

ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。

 

「疑心 隠蔽捜査3.5」とは?

まずは簡単に「初陣 隠蔽捜査3.5」の紹介から。

著者:今野敏(こんのびん)1955年北海道生まれ。

出版:新潮社 (2013/1/28)

あらすじ:

警視庁刑事部長を務めるキャリア、伊丹俊太郎。彼が壁にぶつかったとき頼りにするのは、幼なじみで同期の竜崎伸也だ。原理原則を貫く男が愛想なく告げる一言が、いつも伊丹を救ってくれる。ある日、誤認逮捕が起きたという報に接した伊丹は、困難な状況を打開するため、大森署署長の竜崎に意見を求める(「冤罪」)。

(「BOOK」データベースより)

おそらく現実には、警視庁の刑事部長が一警察署の署長にアドバイスを求めることなど無いのでしょうが、そこがあるからこそ、この物語は面白いのです。

伊丹が旅行に行ったり、インフルエンザにかかったりして右往左往しているのを、竜崎が一刀両断。水戸黄門のような感じでしょうか。

では、今回も教訓を確認していきましょう。

大問題も問題ではない

解決不能な大問題に思えるような事柄でも、竜崎が説明すると実に単純なことに思えてくる。どんな問題にも解決策はあるということがわかる。

大きな問題(だと自分では思えること)でも、実は解決策が非常にシンプルである、ということは少なくありません。

冷静に考えれば、あるいは客観視してみるとすぐに答えが出てくるものです。

しかし、冷静になれない・客観視できない、もしくは答えは出てきたがそれを実行すると自分にとってさらに不利益な事態が生じる。言い訳を考えたくなる。

そんなこともあるでしょう。

ただ、往々にして大問題は自身が思っているような大惨事にはつながりません。

竜崎のように「解決策はあるのだ・それを実行するしかない」と考えて行動することが重要でしょう。

理想の追求とジレンマ

「理想を追求するには当然のことだろう。そして、現実を少しでも理想に近づけるべきだ。なぜそれをしない?」

組織の効率だけを考えてはいけない。組織というのは、歯車やゼンマイの集まりではない。人間が集まって作るものだ。

上は竜崎のセリフ、下は伊丹の考えです。これは以前も書きましたが、非常に難しい問題です。

竜崎の言い分はもっともで、正論です。理想とする状態があるから、それに向けて努力する、それは正しい姿です。

ただ、正しいから人は動くか、と言われるとそれは否です。人はプログラムで動く機械ではありません。感情を持った生き物です。組織ともなればなおさらです。

このあたりはやはりバランスが必要でしょう。

警察のように上意下達が原則で、階級制まで敷かれていては下の者は中々反論もできません。しかし、通常の組織・会社であれば相談相手の上司や同僚がいるでしょう。そういった人に相談しながら、指示を聞く・聞かせることをしながら、組織を運営していく、あるいは自分が動くことが必要です。

上司の存在意義

「マスコミ対策に自信がないのなら、警察庁に振ってしまえ。俺の後釜に座った谷岡は極めて優秀な男だ。手に余るなら、上に預ける。それも原則だ。みんな、自分が組織の一員であることを忘れて、できないことを背負い込むから悩むんだ。手に余る事柄は上の者に任せる。それでいいんだ」

この上のセリフこそが、私が隠蔽捜査シリーズで最も感銘を受けたフレーズです。

感銘を受けたポイントは以下 2点です。

 ・竜崎が谷岡を認めている点

 ・手に余る事柄を上に預けることを全肯定している点

谷岡は、かつての竜崎の部下です。このころから、竜崎は谷岡には一目を置いていますが、同時に物足りなさも感じていました。しかし、ここでは最大限の賛辞を送っています。誰かの賛辞ならば流していましたが、あの竜崎が認めたことにとてつもなく大きな意義があります。

そして後半。「できないことを頑張るから成長する」というのは正論でしょう。

しかし、それだけでは押しつぶされてしまう人もいると思います。期待して負荷をかける、しかし、かけすぎては成長する前にその芽を摘んでしまいます。

であれば、上の方に助けを求め、そのやり方を吸収する・対処してもらう。そして次に活かした方が有益でしょう。

組織の一員であることを自覚し、上役の存在・役割を認識する。

心に留め置きたい教訓です。

 

この作品は過去作品とリンクするところもあり、単体でも楽しめますが、シリーズを通しで読んでいると更に面白く読み進めることができると思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(引用箇所は全て『初陣 隠蔽捜査3.5』より)