隠蔽捜査に学ぶ!シリーズの第5弾です。
※基本的に1回完結型になっているので、どこから読み進めていただいても大丈夫です。
今回は「転迷 隠蔽捜査4」をご紹介します。
ここまでくると、シリーズ的には飽きられてもしょうがないような状況ですが、隠蔽捜査は全く飽きさせません。
相変わらず、色々な教訓を与えてくれます。
今回は事件が同時多発的に起こりますが、そこで竜崎の辣腕が振るわれます。
ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
「転迷 隠蔽捜査4」とは?
まずは簡単に「転迷 隠蔽捜査4」の紹介から。
著者:今野敏(こんのびん)1955年北海道生まれ。
出版:新潮社 (2014/4/28)
あらすじ:
大森署署長・竜崎伸也の身辺は、にわかに慌しくなった。外務省職員の他殺体が近隣署管内で見つかり、担当区域では悪質なひき逃げ事件が発生したのだ。さらには海外で娘の恋人の安否が気遣われる航空事故が起き、覚醒剤捜査をめぐって、厚労省の麻薬取締官が怒鳴り込んでくる。次々と襲いかかる難題と試練―闘う警察官僚竜崎は持ち前の頭脳と決断力を武器に、敢然と立ち向かう。
(「BOOK」データベースより)
警察署長とは、こうも忙しいものなのか。もちろん、フィクションではありますが、その一端を垣間見たような気になります。
もちろん、皆さんも仕事や学校等でお忙しい身だと思います。ただ、そんな中でも達成感ややりがいを感じることもある。そんな状況を思い出させてくれる内容です。
では、今回も教訓を確認していきましょう。
優秀な人間とは?
本当に優秀な人間というのは、自分を過信しない。周囲の人間の助けを借りることも必要であることをよく心得ているものだ。
皆さんの周りにもいるのではないでしょうか?
何でもできてしまうが故、何でも自分ひとりでやってしまう人。確かに優秀なのかもしれませんが、あまり周りのことを考えていないように感じます。
例えば、その人が重要なプロジェクトの責任者だとしましょう。
その人が旗を振って、全てを回してきた。プロジェクトメンバーはその人の手足のような存在。
だとすると。その人がいなくなった途端、何らかの事情(病気等)で関われなくなった途端にそのプロジェクトは立ち行かなくなってしまいます。
周りとしっかり共有し、助けや力を借りながら物事を進めていける、そういう人が本当に優秀な人なのでしょう。
できることをちゃんとやるべき
今、竜崎にできることは一つ。書類に判を押し続けることだけだ。
できないことをやろうとするからうろたえるのだ。できることをちゃんとやればいいだけだ。
俺たちは俺たちにしかできないことをやる。
1つ目は個人的に気に入っているフレーズです。
事件が同時多発的に起こるのですが、それに部下がしっかりと対応してくれています。そこで指示を出し終わった竜崎にできることは、署長としての仕事(書類への判押し)のみ、というわけですね。
最後は竜崎ではなく、伊丹のセリフですが、竜崎もこのセリフは称賛しています。要は、上席には上席にしかできない仕事をする義務がある、ということです。
竜崎は無茶をすることもありますが、基本的には「できることをしっかりやる」というスタンスで仕事をしています。
これは至極真っ当な考え方です。手に余ることは上司に任せ、自分は自分ができることをする。これが最も効率的ですし、効果が上がります。組織の一員であることを忘れ、自分の力量以上のことをやることは(時には必要ですが)、たいてい上手くいきません。
物事は視点を変えてみる
物事のマイナス面だけ見ていても仕方ない。あらゆることを、自分のために役立てるように努力すべきだ。
しかし、私は、今の仕事がけっこう気に入っています
自分にとって、想定外の事態というのは往々にして起こります。
それを「不運・不幸」として気の乗らない状態で仕事をすることも、ままあることかもしれません。
しかし、それが起こるたびにそのようなマインドになってしまってはもったいないです。
これを少しでもプラスに捉えるよう、努力する、そうすると全ての物事がプラスの面を持っていることになります。
例えば、自分は大雑把な性格で、細かなチェック作業等は向いていない、と思っているとします。でも上司に仕事を振られたからには、やり遂げなくてはいけません。
じゃあ、このチェック作業を即時に終わらせて上司を驚かせてやろうとか、誰か同僚と二重チェック体制を作って精度を上げてやろうとか、やり方はいろいろとあるはずです。
そしてラスト。
竜崎は降格人事を受けましたが、このセリフをはきます。実際、頼れる部下に囲まれて、竜崎は大変でありながらも楽しそうに仕事をしています。
こんなセリフがボソッとつぶやけるように仕事できれば、それはとても幸せなことだと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(引用箇所は全て『転迷 隠蔽捜査4』より)